あれから数日。
私の誕生日がやって来た。
髪は編み込んで左肩に流し、化粧は薄め。服装は動きやすいようにパンツとペタンコサンダル。
今日は、買い物に出掛けたり、紅葉を見に行く。
まぁ、護衛として、晶さん、慶ちゃん、礼ちゃんが来てるから、二人きりではないけど。
「莉依、買い物大丈夫なのか?」
急に言い出す翔ちゃん。
きっと、前の誘拐事件の事なんだろうな。
意外と心配しいなんだね。
「大丈夫だよ。翔ちゃんもいるしね。そういえば、清水の若頭何か吐いた?」
「…。澤田については何も吐かない。ただ…。」
ただ?
「鴻巣は澤田の組員だと言っている。それは慶一郎が調べて出てきている。」
そうか…。
私は優杏さんから聞いてるから本当のことは知ってる。
けど、これは秘密にしなくてわ。
「だが、鴻巣はまだ何か隠している。情報が上書きされてるようだ。」
そこまで気付いて…。
流石、慶ちゃん。
"テヲヒケ。デナケレバ、セイミヤトカワシロ、ミコシバヲツブス"
「ーっ!?」
ふと、思い出した言葉に、嫌な予感を感じた。
私がいる限り、清宮、川城そして神子芝に何かしら手を打ってくるって事に今更ながら恐ろしくなる。
私がいるから…もう巻き込んでいるんじゃ…。
私が不安そうに見えたのか、翔ちゃんは自分の手を私の頭にのせてきた。
「大丈夫だ。何があっても必ずお前は守るから。」
翔ちゃん…。
「ありがとう…。」
言えない。
私がその危険の渦に入ろうとしていること…。

