今日は部屋の掃除。

服を鞄に積め、使わないと思われるものは捨てていく。

元々、持っているものも少なかったから、何日間かかかると思われていた掃除が終わってしまった。

まぁ、この一週間、バレないよう部屋の感じはまだそのまま。

「我ながら、隠すのが上手い!」

自負しながら、窓の外を見る。

"お前が何か悩んでる時は必ず窓を見る。"

大和の言葉が頭に響く…。
…そうね。

悩んでいるわ。

片付けをしながら、心はどこかで残りたいと思ってるのは間違いないから。

「不安に思うとなかなか抜け出せなくなりそうね。…そういえば、光の箱って何だろう?」

ふと、片付けながら頭に出てきた暗号の意味。

姫野に光の箱なんてもの無いんだけど…。

大和も探してくれてると思うけど、連絡がないってことは見つかってないってこと。

父と母は何処に隠したのか。

てか、光の箱って何さ。
ネーミングが…。

というか、あの手紙の書いた人を見つけ出さないと…。

あーもう!
頭が混乱する…。

庭に出て、空気をすって頭をスッキリさせよう!

縁側にでて、庭に足を下ろす。
風がふいていて心地いい。

「姫。」

晶さん?
翔ちゃんと仕事じゃなかったっけ?

晶さんは優しく微笑み、私の隠した疑問に答えてくれたる。

「仕事は終わりましたが、若は親父に呼ばれてまだ戻ってません。」

「えー。じぁ、少し休んでればよかったのに…。」

「御気遣いありがとうございます。ですが、姫とお話をさせていただきたくここに参りました。」

「お話し?」

私の問に笑顔を見せると、ネクタイを緩めて私のとなりに腰かけた。

「お前らはいつまでもくっつかねぇのな。」

いきなりの口調の戻りに驚き、目を見開いてしまう。

だってほんの数秒前まで敬語だった人が、急に口悪くなるんだもの。

「くっつかねぇのなって…。てか、口調戻ってるし。」

「今は翔樹も親父さんもいねぇからいいんだよ。てか、お互い想い合ってるだろ?見てるこっちが焦れったい。」

想い合ってる…か。

「それは違うよ。私のただの一方通行。翔ちゃんは、妹って思ってるだけだし。」

私が背伸びをして答えると、隣から盛大なため息が聞こえた。
晶さんは額に手をやり、何やら考えている様子。

ど…どうした?

「はぁ。わかってる…わかってるよ。翔樹が全部悪い。」

頭をかきながら2回目の盛大なため息が聞こえる。

私は何がなんだか分からず、頭の上に?が飛び交う。

「常に目を光らせてお前に近づく男から順に徹底的に排除していった結果が今の姫だ…。」

肩を持たれて揺さぶられる。
いや、力強いからね?
頭いたくなるよ?

「ちょっ…晶さん?落ち着いて?」

私の言葉にハッとする晶さん。

「わりぃ。少し取り乱した。」

あまりの凄さに呆気にとられてしまう。