「いや、優しくないから。だって聞いてただろ? さっき俺藍子のこと怒鳴りつけた。あんなこと言う奴が優しいのかよ」
確かに、さっきとはまるで別人のような真広に、少し引っかかる。
今もどこか他人事みたいな、冷たい自分を根っこから切り捨てるみたいな言い方で。
でも気のせいだろう。余裕がなくて取り乱してしまったのかも。
「藍子が食べてくれたからもう迷わないで済むよ。自分を犠牲にするのは責任も何もないから、楽でよかった」
「ごめん。ごめんね......怜美、せっかく......」
藍子の止まりかけていた涙がまた溢れていた。



