ストロベリー・ゲーム



藍子の声の後、長い沈黙があった。

私はドアを開けた。手前の短い廊下に藍子が、奥のドアを開けて洗面台に寄り掛かった真広が、向かい合って立っていた。
私に気づくとこちらを振り向いて、気まずそうな顔をした。

最初からここに幽閉される人は決まっていた。
真広が言った通りだ。苺を食べた犯人をあぶり出すために、真広のおじいさんがこのゲームを考えた。

犯人には制裁が必要だ。


そしてこの制裁は紛れもない“私”のためのものだ。


「ごめん、聞いてた」


私が沈黙を破れば、目を赤くして涙を流している藍子が、諦めたように静かに目を伏せた。