洗面台に辿り着くや否や吐いた。
昨日か一昨日食べたものが出て来た。あれ、おかしいな、昨日、一昨日はここに来る前に何をしてたんだっけ? それになんで今吐いてる?
現実と思考が一致しない。
吐くだけ吐いてその場にズルズルと座り込んだ。心配して藍子が来てくれた。俺を見るなり、病人でも見つけたみたいな深刻そうな顔をして。
咄嗟に笑う。
「ごめんごめん。本当に気分悪くなるような夢見たから」
「なにかの病気とかじゃないの?」
「病気? まさか」
口元を拭って立ち上がる。
足に上手く力が入らなくて、洗面台にもたれる。
俺の中の何かが悲鳴を上げている。
触らないでほしい。別に誰も知らなくていいことだ。



