「ちょっと嫌な夢を見た」 「そう」 ......夢じゃないな。あれ、前のこと。 今更フラッシュバックするなよ。忘れようとしていたのに。 ここは、あの部屋か。まだ俺達は閉じ込められているのか。 ドアのすりガラスから明るい光が部屋の中に差している。 鳥の声がする。回らない頭で考えて、やっと一言呟いた。 「今、もう朝だな」 「うん。怜美も起こそうか?」 ――――れみ。 「待って」 俺は弾かれるようにして起き上がった。一気に意識が覚醒した。