「こんにちは、おじゃまします」とれみが祖母に頭を下げる。
礼儀正しい子だなと思った。
座敷にランドセルを下ろしてもらうと、縁側に二人で座った。「ゆっくりしていってね」と言って祖母は、チョコレート菓子やクッキーの入ったお盆を置いて行ってしまった。
それからしばらくれみと話していた。なにを話したんだっけ。
たぶんどうでもいいことだ。
テレビ番組のこととか。
れみはこの辺りには住んでいなくて、たまたま今日山の方に遊びに来たんだと言った。
ああ、なんて偶然なんだろう。俺が畑を見に行かなかったら会わなかったかもしれないのか。
ぼんやりとそう思った。
ふと、れみがまだ一度もお菓子の入ったお盆に手をつけていないことに気が付く。



