ストロベリー・ゲーム


夜はお腹がすくから誤魔化そうとして早く寝た。夏場の暑い日はクーラーもないから、穴の開いた網戸にしてぬるい風でしのいで。

父の仕事が上手くいっていなかったからだ。別にそれでも、苦しくても、なんとか楽しく三人家族でやっていっていた。円満な家庭だった。父も母も私を沢山愛してくれたし、全然不幸じゃなかった。

今では生活も安定しているし、普通の一軒家に住めるようにもなって、

でも貧乏だって言ったら、みんな「可哀そう」って目をするから。


そういうのは嫌だよ。
幸せだった思い出が何もなかったことになりそうで。


あの事件だって、後悔はしているけど......今更どうにかなる問題ではないから。