藍子は真広が部屋に入って来てからなにも話さない。
藍子と真広は仲良くできないんだろうか? 仲介の役もしんどくなってくる。

この部屋には窓もない。まだ高校二年生になったばかりで、春の終わりぐらいの過ごしやすい時期だからよかったんだけど。夏や冬だったら危険だっただろうな......。



「共通点は怜美ってこと?」

藍子が呟く。
まあ、私は二人と面識があるから、そうなるのか。


「え? 藍子も怜美のこと知ってるの?」


先ほど席を外していたから、真広は話についていけないようだった。
藍子が答える。


「うん。あたしが小学校の時転校してきて、できた友達。すぐにまた違う学校に行ったから、怜美は覚えていないかもしれないけど」

「藍子のことはぼんやり覚えているんだけどね、桐江くんのことが、全然思い出せなくて。だいぶ前の事だからかな」