「受験生になったらあまり、会いに来るんじゃないよ」
京極は唐突にそんなことを言った。それまで、会いに来るななんて一言も言わなかったから、少しドキッとした。というのは本人には絶対に、言わないけど。
「随分懐かれたみたいだけど」とにやにやと笑いながら京極が付け足した。憎めない笑顔だといつも思う。言葉は、毎回一言余計だけど。
どうせ自分だって俺のことを待ってるんじゃないか。交番の中から、俺を見つけると嬉しそうな顔をするくせに。
「うるさいな」
いつものようにその日も、小一時間くらい話してから家に帰った。
受験生、と京極が言っていたのを思い出す。
勉強、始めた方がいいのか。髪も黒に戻した方がいいか。
真面目になったな、と京極に笑われそうだけど、なんだかんだ、あの人は喜んでくれそうだ。



