「でも、警察官になるんだろ?」
「え」
京極が思いもよらないことを言うから、俺は噴き出して腹を抱えて笑った。
そういえば前にそんなことを言ったっけ。
「あれ、冗談で言ったし」
「え! 僕は本気だと思ってたんだけどなあ」
残念そうな京極。
交番の中では帽子を被っていない。直毛の黒髪は、夏の頃よりすっかり伸びて目にかかっていた。
「大学とか行けるほど賢くもないし、テキトーなところに就職してやっていけたら、ラッキーかなあって。ぼんやり考えてるぐらいっすよ」
「もったいないなあ。まだ若いのに」
「あんたも十分若いだろ」
京極が「そう?」と照れるように笑った。変な人だ。二十代なんだからまだ若い方だろう。



