ストロベリー・ゲーム




そんなこともありながら、春が来る前に、一度だけ。
京極の妹に会ったことがある。

向こうは俺に気づいていなかったが、交番の前で京極と女の子が話しているところを偶然見た。女の子が帰ったあとで京極に聞いてみたら、妹だった。

お嬢様のような、灰色のワンピース型の制服姿。ダークブラウンの大きな学生鞄を肩に下げていた。さらさらで長い髪の毛、艶のあるローファー。細身で色白。頭のてっぺんからつま先まで、どこを見ても綺麗な少女だった。

京極が言っていたように、顔も可愛かった。
京極の家系は美形ばかりなのだろうか。




三月に入ってもまだ寒かった。交番の中には灯油ストーブが一つあった。
閉め切った戸。外と内の温度差で、ガラスが曇っている。

「悟志くん、今年から受験生なんだろう?」


長袖の制服になった京極と、学ラン姿の俺。
京極に聞かれたことに頷くが、それほど実感も沸かなかった。

「うちの学校、真剣に受験勉強してる奴いないですよ」