「そうだな、じゃあこう考えてみようか」
蝉の声が聞こえる。
クーラーもない部屋で扇風機が一つ回っている。俺も京極もいつの間にか汗をかいていた。小さな机を挟み、同じパイプ椅子に座って、向かい合う。
「悟志くんが、僕になんとか頼んで友達をここで見逃したとする。友達はあの時吸わなきゃよかったと後悔はする。でもそれだけだ。他の誰かから注意を受けて、心から反省する機会を、君が奪うんだ。あの時吸わなきゃよかった、という気持ちは消化されないままだ」
「......」
「煙草一本を吸うと、五分くらい寿命が縮む。死ぬ間際に、あああの時吸わなきゃあと五分生きられた、と思うかもしれないね、友達は」
「さすがに、大袈裟っすよ......それは」
そんなの被害妄想だ、と思った。笑ってしまった。
内心怖がっていることも、京極には見透かされていたのか。
「本当だったらどうしようか」



