だから今度は、近所の人や周りの人に、犯人は教えずに被害だけ受けたことを伝えた。あっという間にそれは広がり、すっかり「苺の事件」という名前までついてしまった。

周りが犯人を捜そうとなっている空気の中、怜美の気持ちを思えば、苦しかっただろう。でも、俺だって容赦はしたくなかった。理由も言わないなら別にもういい。怜美を追い詰めて白状させてやると思っていたほどだ。

真広だって怜美のことを知っているはずなのに、本当のことを言わない。


じわじわと感じていく。
盗みをしてしまった罪悪感を、背負って生きることの辛さを。




「悟志さん」


津由が俺に話しかけてきた。
そこでふと思い出す。目の前で流れるテレビの音が、急に耳に流れ込んできた。後ろを振り返ると、眉をハの字に下げて申し訳なさそうな顔をした津由の姿。

真広を叱って小屋に閉じ込めたんだったか。

時計を見ると、もう夜の七時を過ぎていた。そろそろか。