藍子と私、どちらが先に真広の家に着くだろう?
藍子は海の近くだから、少し遠いかもしれない。でもあの辺りは駅もあるしバスもよく通っている。この辺りは電車の本数も少ないから。
いい、勝負だったりして。
日の沈んでいく連なった山々の、真逆にある東の、一つの大きな山。
息を切らしながら夢中で走る。まだまだ遠い。それでも少しでも、今は近づきたい。
足が地面に着くたびに、パタパタとローファーの底が地面と擦れる音を立てる。構わず腕を振りながら、風を切り裂いて進む。
夜が近い。もうじき暗い空と沢山の星が降りてくる。



