不安そうな声で言った藍子に、私はため息交じりの息をつく。
「嘘でしょ......」
〈一回しか行ってないから〉
そうか。私は何回も真広の所に遊びに行っていたからだろう、ぼんやりと家の場所を覚えている。でも藍子は......覚えていないのか。苺の事件の日以来一度も行ってないんだから。
〈気づいたんだ。真広のおじいさんに叱られて分かったんだ〉
少し間をおいてから、藍子がぼんやりと呟いた。
いつもより暗い声だった。
〈怜美がね、あたしが転校してから事件の犯人として捜されてたこと。あたしはもう、盗んだのバレてないって思ってたから、怜美も大丈夫って思ってた〉
「......」
〈でも違ったね......嫌だったよね? ごめんね。あたしが逃げたから。最初から二人で謝ればよかったんだよね〉



