「いいえ。私でよかったです。桐......真広くん、藍子ちゃん、どっちも私の大切なひとだから」 「ははは! 君は、強いなあ」 弾けるように笑った。 元気な笑顔だった。 褒められて、「こっちにおいで」と手招きされた。ベッドの方に向かう。歩幅が小さくて、なかなか前に進まない。 やっとおじいさんの目の前にたどり着くと、大きな手で頭を優しく撫でられた。 「さて、もう時間がない。最後に言うこと、よく聞いてくれ」 「はい」 おじいさんはゆっくりと、丁寧に私に話してくれた。