ストロベリー・ゲーム


「本当なら俺は今日、君を逃がすつもりだった。でも逃がさなかった。真広と、ついでにあの女の子も君に呼んでもらった。三人まとめて叱るつもりだったんだ」


過去が変わり叱られるはずだった子供の私たちが、高校生になった私達と入れ替わったんだ。

過去をやり直したのは、事件を起こしてしまった私達を早い段階で叱り、罪悪感を消すため。

……どうして死の間際に、私達のことを助けようだなんて思ったのだろう。もう何年も前の話なのに。

この人の不器用な優しさが、痛いほど心に染みる。


「でも上手く。いかないなあ」


真広のおじいさんは、手首につけた大きなゴツいシルバーの時計を見た。時間が、ないのか。