「あの日、君が苺を食べて真広の家に来た日。俺は君が犯人だと気づいていたが、君を捕まえなかった」 彼が言うことに衝撃を受けたのは言うまでもない。気づいていた? おかしい……あの時誰も、私が苺を盗んだところは見ていないはずなのに。 「な、んで......」 力の抜けた声が出た。 藍子は真広の家族とは面識がないはず。じゃあ真広が、もしかしておじいさんに言ったの? 絶対に言わないって言ったのに。 そんなことを考えていたら、「真広はなにも言ってないよ」と諭された。