怜美の腕の中で泣いていた。
藍子は何も言わなかった。

記憶がだんだんと蘇ってきた。この小屋は俺がよく閉じ込められていた祖父母の家の離れだ。この近くには祖父母の家がある。祖母を呼べば助けに来てくれるだろう。

............いや、呼んじゃ駄目だ。

祖母は“家にはいない”。


なんでだっけ?


なんで俺一人で泣いてたんだっけ。


温かい腕の中で目を閉じて考えようとした、その時。





――――プルルルル、プルルルル。