「真広」
真っ白なベッドの上に座っている祖父と、その隣にいる祖母の姿。祖母が俺に気づいて名前を呼んだ。
頭には包帯が巻かれ、右足の足首の辺りには痛々しくギプスがつけられている。病院の服は着ていない。顔に傷はない。俺を見るなり、祖父は何かを祖母に耳打ちした。
あれ、変だな......?
いつの間にか発作が出ていたみたいだ。変な息をしている。意識した途端に苦しくなってきた。バイトの制服が入ったカバンが、肩を滑ってずるりと床に落ちる。膝に両手をついて俯く。祖母は俺の方に来て、背中をさすってくれた。もう二度とこんなことないと思っていた。
「大丈夫よ、おじいちゃん大丈夫だったよ。よかったね」
祖母が優しく笑いかける。



