「そう。だから言ってんの」
俺は祖父の目を見てまっすぐに言う。
『おじいちゃんはね、真広のこと小屋に閉じ込めてそのまま眠れなかったのよ。自分がやったことなのに心配してさあ、結局テレビ見て、真広の帰りを待っていた。あの人は、素直じゃないよねえ』
祖母が言っていた。
まだ精神が不安定だったときに聞いた話を今でも覚えている。誰よりも心配していた。陰ながら俺を大切に思ってくれていた。その見えない愛情に、ふとした時に触れる度に思うんだ。
俺が返せるものは何か。
「じゃあ、俺らのことはもう放っておけ。自分のことだけに専念しろ」
てっきり反対されるかと思っていたから、俺は目を丸くしてその場に立っていた。
そこで、これはものを頼む態度ではないと自分の無礼に気づいて、床に腰を下ろすのだけれど。
「......いいの?」



