あたしは本当に自分勝手で、我慢も苦手で、嫌いなことはとことん嫌いだ。

あたしは自分に都合の悪いことはやらない。でも怜美は自分に都合が悪いことは自分を殺してからやる。

きっと恥ずかしいという感情もあるだろうに。この空間で、この瞬間を選んで真広を抱きしめた。真広の救済のために、「あたしの片思い」という事情も踏みにじってその背中に手を回した。あたしが文句を言おうが彼女は真広を守るだろう。


怜美は平和主義だ。争うことは好きじゃない。

小学校の時もそうだった。喧嘩には一切縁がなかったし、友達関係も良好。彼女の周りで争いが起こる事自体がおかしいくらいだった。今思えば怜美の隣にいて、あたしは守られていたのかもしれない。

怜美がいなかったらあたしはいじめられていたかもしれない。

こんな性格のあたしを、一体誰が受け止めてくれるんだろう。