一目惚れなんてこんなことあるんだな……。まあ、こんなにも美人な女性に恋に落ちるなと言われる方が無理だが。でも、彼女に対して恋に落ちたのは俺だけではないようで、部屋に残っている数人が「やば、美人!」と頬を赤く染めながら話している。

「すみませんが、どちら様ですか?」

コホンと咳払いをして訊ねると、上司が「そうだな。紹介しないとな」と言いようやく男性と女神の名前を紹介してくれた。

「こちらの男性はアンドレ・ミハイロフさん。何でも屋「iustitia」のリーダーをしている。そして彼女もそのメンバーで、名前はビオラ・フォールドさんだ」

何でも屋という存在は、名前だけは聞いたことがある。犯罪に関わること以外なら、人探しから警護まで何でもする仕事だ。

それにしても、ビオラさんというのか……。名は体を表すというけど、本当なんだな。美しい彼女にぴったりの名前だ。

「初めまして、アンドレ・ミハイロフです。ビオラの父親代わりをしています。よろしく」