危険な犯罪組織が動く中で、協力者?何を考えているだ。そんな目で上司を見れば、「まあ聞け」と返される。

「今回、君と数人の捜査員が列車の中に乗ってもらい、犯人を確保してもらう。だが、この犯罪組織の奴らは警察を見抜くのがうまい。我々警察の存在を隠すため、協力者が必要なのだ」

「しかし、列車の中で銃撃戦などが起きればその協力者に危険が及びますよ」

協力者はなしの方が、と言いかけた時だった。凛とした声が部屋に響く。

「問題ありません。銃撃戦に発展させないように致します」

俺が後ろの扉を振り向けば、閉められていたはずの扉は開いており、そこに大柄で日焼けした肌を持った男と、華奢で小柄な女性が立っていた。気配などは全く感じず、いつからそこにいたんだろうと思ってしまう。いや、そんなことより……。

俺は、先ほど言葉を発した女性に目が釘付けになっていた。艶のある白髪に同じく白い肌、片方はアメジストのような紫、もう片方はルビーのような赤い瞳の美しい女性に、心が完全に奪われていた。いわゆる一目惚れというやつである。