女性に気絶させてもらったなんて、何だか情けない。俺がビオラさんを守らないといけないと思っていたのに……。

「俯いている暇などありませんよ」

俺の顔を両手で包み、ビオラさんは俺をまっすぐ見つめる。

「まだこの列車の中には大勢の犯罪者がいます。制圧していきましょう」

「はい!」

アンドレさんに乗客たちの警護を頼み、俺たちは次の車両へと向かう。その時に見えたビオラさんの横顔は、凛々しくてまた胸がギュッと音を立てる。

今は恋のことなんて考えていられない。でも、一緒に行動をすれば振り向いてもらえるんじゃないかな。

「ビオラさん、俺が先に行きます!」

ビオラさんを背後に立たせ、俺は次の車両のドアを開けた。