「せっかく海来たんだしさ、ちょっと遊んでこーぜ」
そう言うや否や、ひょいっと飛び降りた佐川。
「ん、」
私に向かって差し出された手のひら。
その手に自分の手を添えて白い砂浜に着地する。
砂に足をとられながらも、一目散に海へと駆ける。
海と砂浜の境界線付近で佐川と同じようにローファーと靴下を脱いで、海の中へと足を入れこむ。
わたしたちの世界はすべて青でできているかのように、上も下も、見渡す限りが青で満ちている。
スカートを翻す。水を蹴る。
大人はみな、口を揃えて言う。
『高校生が一番楽しい時期なんだから』
周りの友達はみんな言う。
「華のセブンティーンだよ」
高校生活が楽しいなんて、馬鹿みたい。
苦しくて、ほのかに薄暗くて息が詰まる。
わたしの17なんてこんなもの。
ずっと、そうだと思っていた。



