青い夏の、わすれもの。

爽がわたしの肩に手のひらを乗せた。

そこからじんわりと優しい温度が伝わってくる。


「澪心配性で緊張しいだからさ、あたし結構心配してたのよ。ほら、さっきだって、深月さんに対して全然笑えてなかったし。も~、澪大丈夫かなって思ってたけど、魁のお陰でちょっとは肩の力抜けたみたいで良かった。そんくらいリラックスしてやりな」

「爽...」


爽はやっぱりわたしの親友だ。

わたしのことをわたし以上に理解して心配してくれてる。

わたしは爽を親友に持てたことに誇りを持つよ。


「今まで練習頑張って来た自分信じて頑張れ!澪なら絶対大丈夫!なんてったって、あたしの親友なんだから!」


爽はわたしの背中をポンっと叩いて前を向く勇気を分けてくれた。


「澪、全力で行ってこい!あ、ちなみに、魁には魁のお陰で澪元気出たよって言っとく」

「うん。ありがと、爽。爽と魁くんのお陰で元気出た。わたし、絶対金賞取る!」

「そうそう、そのイキ。頑張れ、澪」


爽がわたしに背中を向ける。

爽がいなくなると思うとなんだか心細くなる。

大丈夫かなって不安が胸に押し寄せる。

もやもやがわたしの心を見えなくする。

また顔をしかめたわたしに、爽は振り返ってこう言った。


「あ、そうだ。風くんも来てるよ。あたし、誘ったから」

「えっ...」

「以上サプライズでした。バイバーイ!」

「ちょ、ちょっと爽!」


最後にとんでもない爆弾を投下し、後始末もしないまま爽は去っていった。