「よっ!爽っ!おっはー」

「ちょっと!女子の頭殴ってくるやついる?!痛いんだけど」

「まぁいいじゃん。どうせ、"幼なじみ"の爽なんだし」

「"幼なじみ"じゃない!"幼なじみ以上恋人未満"だ!自分で言っておいて、忘れたなんて言わせないんだから!」


爽を恐れて魁くんが逃げ出し、爽は獲物を仕留めるがごとく走り出した。

爽は威勢が良くていいけど、やはり女性らしさには欠ける。


「華ちゃん、爽に女性らしさっていうのを教えてあげて。爽、あのままじゃいつまでも平行線だと思うから」

「うん、分かった。私茶道習ってたことあるから茶道で大和撫子の心構えを叩き込むよ」

「それいいね。じゃあ、よろしくお願いします」

「はい」


ふふふっと顔を見合わせながら笑い、いつの間にか校門を通過していた。

照りつける太陽は相変わらず眩しくて肌をジリジリと焦がす。

ただ、真夏の風とは違ってどこか爽やかで心地よい風が吹いていた。

その風に揺れる花はとても心地よさそうで、降り注がれる甘いシャワーを希っていた。