しばらくホールの入り口で談笑していたけど、ある時ふと思い出したように爽が言った。


「いよいよ、吹部も終わりだね」

「うん...」

「だね」

「だな」


私達が奏でてしまっていた不協和音は徐々に新しい音楽を奏で始めている。

そこにはもう負の感情は一切ない。

1つの音色から始まり、邪魔をしないように他の音が重なり合っていく。

そうして生まれるメロディは青々としていて美しく、まだ見ぬ明日を歩いていくエネルギーが宿っている。

4人の和音が、あの2人にも届きますように。

私はそう心から願う。