――ドンッ!


花火の衝撃に細胞が震えた。

私は衝撃音と叫んでしまった言葉の先への恐怖から目を瞑ってしまった。

けれども...

私の側で風は吹いた。

優しく頬を掠め、私の心を丸ごと拐い、抱き締めてくれる。

私はその風の中心で生ぬるい雫をぽとりと一粒落とした。


「泣かないで、深月さん」


私はその声に導かれるように、顔を上げた。

暖かな親指が流星のように頬を伝う涙を拭ってくれた。


「笑って。これからもずっと、おれの隣で笑って」


私は大きく頷き、その胸に額を押し付けて静かに泣いた。

嬉しくて嬉しくて嬉しくて...

涙が止まらなかった。

2つの想いが交わる奇跡が私の元にやって来るなんて私は思ってもいなかった。

奇跡が起こるなんて信じたことは1度としてなかった。

けど、今は信じたいと思う。

奇跡も運命もあるって、

信じたい。

私はこれから

この胸に収まり切らないほどに

大きく、たくさんの想いを大切に抱いて、

歩いて行く。

その道のりは歩きやすい道とは限らない。

茨の道に心が折れそうになるかもしれない。

でも

私の隣には、

私の追い風になってくれる人がいる。

私はもう1人じゃないから、

真っ直ぐ歩ける。

...歩いて行ける。