「あたしのこと、魁は全然分かってない!それがすっごく...すっごくすっごくむかつく!むかつくけど、悲しいけど、でも...でもさ......」


会場のスピーカーから今流行りの男性アイドルの曲が流れ出す。

どうやら、そろそろ始まってしまうみたい。

なら、始まる前に言おう。

決着をつけよう。

終わって始まるなら、

今しかない。

もう、この気持ち、

押さえらんない。

止まんない。

アクセル全開なんだ。

だから、伝える。

この全てで。

あたしの気持ち、

今、大輪の花になる。


「全部許しちゃうんだよ!

魁に何されても、魁が誰を想ってても...あたしは、あたしの心は、ずっと魁でいっぱいなの!好きで好きで好きでしょうがないの!」


――ひゅ~っ!


目映い光の球が尾を引いて夜空へと昇っていく。

あたしはそれを無視し、この瞳に魁だけを映した。

そして、放った。


「大好きなの!」


――ドンッ!


花火の衝撃音と共にあたしの声も夜空へと散った。

魁がどんな表情をしたのかは暗くてよく分からなかった。

あたしの心は目も眩むほどに眩しくて鮮やかで、あたし自身の目では見られなかった。


花火は夜空のど真ん中で咲き誇っていた。