青い夏の、わすれもの。

――パンッ!


胸の水風船が弾け飛んだ。

試合終了だった。


――ブーブーブーブー...。


セットしていたスマホのアラームも鳴り出した。


「風くん...時間...」


その一言を言うのが精一杯だった。

わたしは爪先を見つめた。


「風くん...ありがと」


そして...

さよなら。


言葉にはしなかったけど、わたしの中でピリオドが打たれた。


「こちらこそ、ありがとう。じゃあ、おれは次爽ちゃんのとこに......」


......じゃないよね?


風くんは駆け出した。

それもそのはず。

深月さんが突然いなくなったのだ。

風くんの視界にはきっともう深月さんしか映っていない。

深月さんのためにしか、サッカーで鍛えられた俊足を使わない。

わたしがいくら苦しい表情をしても、

わたしの胸に暗雲が立ち込めていても、

風くんは気付かない。

なぜなら、それは...

特別じゃないから。

わたしは風くんの特別になれなかったんだ。

いや、

なる努力をしなかったんだ。

胸のどこかでわたしには無理だと諦めていたのかな?

わたしはどうして諦めちゃったのかな?

どうして、かな?

どうして、わたしの心は...

こんなにもモノクロなのかな?

風くんへの想いが消えた世界は味気ない。

見るもの全てに色がない。

わたしの世界から色が消えた...。

変わらないのは...ペンギンだけ。

最初からモノクロのペンギンだけ。

変わらず"好き"と言えるペンギンだけだ。


わたしの瞳から雫がポタッと落ち、裸の親指に染み込んだ。