青い夏の、わすれもの。

「澪、はい」

「えっ?」


わたしの手首に魁くんはそれを着けた。

奇しくもそれは...青色のブレスレットだった。

風くんが好きな...青だった。


「やっぱり似合う。俺のイメージ的に、澪イコール青、なんだよな」


イコールで結ばれていたらどれだけ良かっただろうか。

そんなこと、起こらない。

この先ずっと、起こらない。

きっと、このまま平行線を辿る。

何度も延長戦を繰り返して

最後には、深月さんにサヨナラホームランを打たれて試合終了、なんだ...。

わたしには見えてしまった。

この恋の行く末が...。


瞳の奥がじわじわと熱を帯びる。

手のひらが痺れてくる。

鼻の奥がツーンとしてくる。


ここで何か口にしたら、溢れ落ちてしまいそうだけど、今胸にある感情には正直になりたい。

伝えたい。

わたしは、涙が溢れ落ちないように背面で両手をぎゅっと握りながら、そっと呟いた。


「魁くん...ありがとう」


わたしの言葉に魁くんはニカッと歯を見せて笑った。

その笑顔が眩しくて、

眩しすぎて、

わたしの胸は呼吸もままならないほどに

苦しかった。

苦しくて苦しくて苦しくて

ここではないどこかへ行きたかった。