青い夏の、わすれもの。

「爽、おはよ。えっと...これはどういうこと?」


自分でも驚くくらい、今にも消えそうな線香の煙のようなか細い声で喋っていた。

わたし、今日1日持つかな...。

不安の波はすっかり濁りきっていて、せっかく透明に戻った心をまるごと飲み込んでしまった。

そんなわたしに爽は眩しすぎる光を当てる。


「見た通りだよ。澪のベクトルの先にいる人を順々に辿っていったらこうなった。ははっ!あたしがベクトルとか笑っちゃうわ!」

「さ、爽?大丈夫?」

「うん、大丈夫」


爽のハイテンションぶりに思わず"大丈夫?"なんて聞いてしまったが、大丈夫じゃないのはわたしの方だ。

こんな黒く濁りきった心で楽しめるわけがない。

どうしよう...。

もう、帰りたくなっちゃった...。