青い夏の、わすれもの。

律くんは未確認飛行物体を見るような目でマナティを見ていた。


「これは何ていう動物?」

「これはマナティです。人魚のモデルになったと言われている生き物です」

「人魚のモデルはジュゴンって聞いたことがあるけど、違う?」


よくぞ聞いてくれました!

私はここぞとばかりに知識を披露する。


「ジュゴンもマナティも人魚のモデルと言われていますが、その生態は全く別の物です。

ジュゴンは海水で生活をして海藻を食べますが、マナティは海水と淡水が混ざった場所に住んでいて水草を食べます。
ジュゴンよりマナティの方が体格も良いです。

あと、何と言ってもヒレの形が異なります。ジュゴンはイルカと同じ三角形で、マナティは楕円形なんです。

でも、どちらも象の祖先から進化したと言われています。そこだけは似通ってますね」


一通り説明した後、私の額にじんわりと汗が滲んできた。


やってしまった...。


自分の好きなことになると、話が止まらなくなって周りが見えなくなるのだ。


ドン引きされてないかな?


恐る恐るマナティから律くんに視線を移すと、律くんの顔にはどんな表情も浮かんでいなかった。

私の話に飽き飽きしてしまったのかもしれない。

嫌われてしまったかもしれない。

頭を下げずにはいられなかった。