青い夏の、わすれもの。

私は2人に別れを告げ、少し離れたところにいた律くんに慌てて駆け寄っていった。


「律くん、ごめんなさい。あの...よろしくお願いします」

「うん。よろしく」


そう言うと、早速律くんは隣の水槽に視線を移した。

私はまだその水槽を全然見ていなかったのだけど、そんなのお構い無しという感じだった。

律くんが魚に興味がないということは開始早々に伝わって来たから、私は水族館の有名どころを思い浮かべ、「カワウソでも観に行きませんか?」と言った。

すると、律くんは私の方にちらっと視線を流してきた。


「深月さんは水族館が好きなんだよね?」

「はい、昔から大好きです」

「じゃあ、深月さんの好きな魚教えて。オレ、海の生き物とか全然見たことなくて良くわからないから」


私はその言葉に胸がとくんと高鳴った。


私、律くんに初めて教えてって言われちゃった...。


トビウオが水面から飛び出す時のようにびゅーんと飛び上がりたい気分だった。


「はい!もちろんです!」


私は意気揚々とあの場所へと足を向かわせた。