青い夏の、わすれもの。

冴島魁。

あたしの幼なじみ。

運動神経抜群の彼が野球を始めたのは3歳の時。

小学校入学とほぼ同時に地元の少年野球チーム"アクアブラスト"に所属し、海の町に旋風を巻き起こすなんてカッコつけながらも真面目に活動していた。

あたしは両親と一緒に毎週末、魁の練習を見に行った。

あたしの父は甲子園にも行ったくらいの人だったし、母も野球観戦が好きで、ねっからの野球好き家庭だったから、あたしの提案もすんなり受け入れてくれた。

通ううちにあたしはルールを覚えた。

自分も混ざってやりたいなんて思った時もあったけど、あたしはそれよりも側で見守りたいと思った。


泥だらけになりながらも一生懸命走ったり打ったり投げたりする選手を練習の時からずっと支えたい。

試合の流れが悪い時に背中を押すような言葉をかけられる人になりたい。

試合で勝った時には1番に駆け寄って"お疲れ様。いい試合だったよ"って言いたい。


そんな想いの先には、魁がいた。

魁の色んな姿を、燃えるくらいまでこの瞳に焼き尽くしたいと思った。

あたしの中でそんな想いが大きく大きく膨らんで、高校に入学すると野球部のマネージャーになった。