青い夏の、わすれもの。

あっけらかんとした永瀬さんにいち早く近づいたのは、山本さんだった。

困惑した表情で話す山本さんとは対照的に永瀬さんの頬は常に緩んでいた。

まるでゲームを楽しんでいるかのよう。

いや、実際にこれはゲームなのかもしれない。

複雑に絡み合った赤い糸をほどきながら、運命の相手を探し当てる恋愛ゲーム。

それに私も無意識のうちに参加してしまったんだ。


磯の香りを乗せた夏色の風がひゅーっと吹き、ワンピースの裾を翻す。

そして、こちらの風も吹く。


「爽ちゃん、これどういうこと?6人で回るってことでいいの?」

「あ、うん。そういうこと」


やはり、永瀬さんは笑ってる。

とにかく楽しそう。

自分だって複雑な立場にいるはずなのになぜこんなに笑っていられるのだろう。

私にはちょっと理解出来ない。


「なんか色々良くわからないメンバーなんだけど...」


朝吹くんは頭を抱えているようだった。

私も分かるようで分からない。

詳細を教えて欲しい。


「あはは!ごめんごめん!連絡先知ってる人の中からテキトーに選んだだけだから、そんな深い意味はないんだ」


と、永瀬さんは言ったけど、永瀬さんが誰よりも人間観察が得意で策士だってことを私は知ってしまったから、やはりこの6人には意味があると思う。

あぁ、確証がほしい。

それを繋ぎ合わせればきっと全貌が見えてくるはずなのに...。


しかし、彼女は提示しないまま、私達に900円を要求した。

回収すると、1人1人にチケットを手渡し、入場を迫った。

私がちらっと顔を上げると、律くんは爪先を見つめて歩いていた。

そこに冴島くんが話しかけ、2人ははじめましての挨拶を交わし、互いの自己紹介を始めた。