青い夏の、わすれもの。

「嫌いって何が?」


魁はあたしの隣に腰を下ろし、そう聞いてきた。


さっきの言葉ちゃんと聞こえてたんだ...。

言いたくて言いたくなかった言葉、届いちゃったんだ。


あたしは突っぱねた。


「嫌いは嫌い。何がどうとかそんなの答えられない。答えられたとしても魁には言いたくない」

「言いたくないって...何で?」


あたしが会話したくないって思ってる時ほど魁は意地でもキャッチボールしようとする。

そういうのが今はただのお節介。

うざいだけ。

それを分かってもらうためにもあたしは口調を荒げた。


「何でも。魁にだけは無理だから!」

「だから、何で俺はダメなわけ?」

「嫌いだから」

「嫌いって言われても俺は爽のこと嫌いになれないから、放っておけない」

「そういうのうざい」

「うざかろうが何だろうが、爽が泣いてる時は俺が側にいるって言ったから、約束は守る」


何それ?

いつの時の約束?


なんて、ね...。

無理に思い出そうとしなくても覚えてるよ。


「ちっちゃい頃、爽めっちゃ泣き虫だったよな?それに人見知りも激しくて。

そんなやつが、小学校に上がったら急にフレンドリーとか陽キャ装い始めたからびっくりした。
あの衝撃は今でも忘れられない」

「...うっさい」

「なんて言って強がってるだけだよな?

幼稚園ん時、俺は爽の幼なじみなんだから、嫌なことあったり、何かされたりしたら何でも言えって言ったよな?

辛いことあったら俺の前で泣いていいっても言った。

だからさ、俺はちゃんとその約束を守る。俺が生きてるうちは爽は1人じゃない。

心配するな。思い切り泣いていい。幼なじみの前では嘘も強がりもナシだ」