青い夏の、わすれもの。

「オレの心もそんな感じ。いつの間にか山本がいることが当たり前になってて山本がいなくなったらって考えたら、胸の奥がズキンと痛んだ。

けど、それがオレにとっての恋なのか愛なのかなんなのか、オレには分からない」

「えっ?だって、それって相手を必要としてるって時点で、その相手を他の誰よりも大切にしてるってことだし、イコール恋なんじゃないの?」


大楽は軽く首を真横に振った。


「ただ当たり前を壊すのが怖いだけなのかもしれないじゃないか。今までの自分が変わってしまうのを恐れるホメオスタシスの反応かもしれない」


大楽の口から放たれた言葉に聞き覚えがあった。

ホメオスタシス...恒常性だったかな?

生物で習った。

生き物が今の状態を保つ現象のこと。

つまり良くも悪くも現状維持をすることだ。


「当たり前を失うことを恐れるのが恋に繋がるのか、オレはまだ証明出来ていない。

だから、山本のことを他の誰よりも考えていてオレの当たり前という枠の中に落とし込んだ存在だとしても、山本に恋してるとは言えないってオレは思った。

永瀬さんに期待させてしまったなら申し訳ないけど、山本への気持ちはオレの中ではまだそのくらい不確かなことなんだ」