青い夏の、わすれもの。

「魁が澪のこと奪ったから怒ってるんでしょ?」

「...別に」


その"別に"は明らかに"別に"ではなかった。

トーンが1つ低かった。

しかも、大楽の視線がふっと足元に向かった。

ポーカーフェイスを装ってるけど動揺を隠しきれていなかった。


「あたしがちゃんと魁を捕まえておけばこんなことになってなかったのにね。けど、大楽も大楽だよ。澪にもっと早くからアピってればこんな想いしなくて済んだのに...」


あたしがそう呟くと大楽の足がぴたりと止まった。

ちょうど照明がない薄暗いゾーンに入ってしまったから表情が良く見えない。

もう、言葉から読み取るしかない。

あたしは大楽が話し出すその時まで、イソギンチャクの中のカクレクマノミのように息を潜めていた。