青い夏の、わすれもの。

あたしはまさかの大楽とのスタートになった。

大楽が観察順路と書かれた看板を辿って最後まで歩いていき、逆走すればいいと言ったから、あたしも名案だと思い、話に乗った。

ってことで、イレギュラーなペアのイレギュラーな時間が流れ始めた。


「最後からだと水族館っていうよりは博物館っぽい。ほら、これとか。あっ、これもすごーいっ!」


あたしは必死にテンションを上げ、身ぶり手振りを交えて興奮したような演技をする。

しかし、隣を歩く男はつまらなそうにただ首を左右に揺らしているだけだった。


「だな」


大楽は相変わらず素っ気なかった。

水族館の研究部隊が書き上げた論文や資料映像、剥製にも全く興味を示さず、ずんずんと先へ進んでいく。

あたしはこのままではまずいと思って大楽のシャツの裾を掴んだ。

大楽がブスッとしたまま振り返る。

うわっ、何その顔...。

こっわ。

なんて思ったのも一瞬。

なんとなく、大楽の気持ちが分かった。

伝わってきた。


「大楽怒ってる?」

「別に。それよりいつからオレは永瀬さんに呼び捨てされるようになったわけ?そんな親しくもないと思うけど」

「そんなのどうだっていいじゃん。大楽くんって言いづらいから呼び捨てにしただけ。ごめんなさいね~」

「別に」


別に、別にって、どう見ても別にって顔してませんが。

やっぱ最初の一撃が効いたのだろうか?

あたしはストレートに投げてみた。