青い夏の、わすれもの。

――ピンポーン!


あたしは予定より5分早く魁の家に着いた。

魁は昔から時間にルーズだから早めに行って"早くしろ"って催促しないとダメなんだよね。

今日は気の知れた野球部の仲間を相手にするんじゃないんだから、時間はきっちり守って頂かないと。


あたしがインターホンを鳴らすと、鍵がガチャリと開いた。

そして、ドアの向こうからビーサンを引っ掛けた魁が出てきた。


「はよ~っ」


欠伸なのか挨拶なのか判別がつかない。

朝が弱いのは分かるけど、この状態はまずいでしょ?

出発予定時刻の5分前で上下ジャージの寝ぼけ眼。

あたしは呆れて置いて帰りたくなったけど、それでは今日の作戦が台無しになるからと思い直し、すんでのところで止まった。

そして、代わりにカツを入れる。


「あのさ、魁。約束守れない男が1番嫌われるよ。あたしここで10分待つからさっさと着替えてきて。それ以上遅れたらバス間に合わなくなるから置いていく」

「えっ、マジ?」

「マジだから。これでも余裕持って来たの。そしたら案の定このザマ。ほんと、しっかりしてよ。澪に嫌われるよ」


ま、あたしには嫌われないけど。


「分かった。今すぐ準備してくる」


魁はドアをバタンと閉めてドシドシ激しい音を立てながら2階の自室に戻っていった。