青い夏の、わすれもの。

あたしは腰を抜かしてしまった。

全身から力が抜けるのが分かり、誰のか分からないけど、ひとまず椅子に腰を下ろした。

ど、どど、どういうこと?

どこまでこの人は知ってるの?

あたしらのスパイ?

こ、ここ、こわっ。

真夏の昼下がりだというのに、寒気がして背中をたらーっと汗が一筋流れた。

あたしの思考回路がショートし、言葉の生成を滞らせていると、大楽くんが代わりに話し出した。


「オレ、こう見えて勘がいいんだ。どこまで当たってるか分からないが、オレの想像を話す」

「あ、はい。どうぞご自由に」

「永瀬さんは冴島くんのことが好き。けど、冴島くんは山本のことが好き。
冴島くんから山本を離すことが出来れば自分にもチャンスが巡ってくる。
で、山本と親しそうなオレを探ってる」

「うん。まずまず当たってる。まぁ、ほんとはあともう少し枝分かれしてるけど」

「そ」


パッと見恋愛には疎そうな感じなのに、なんでこんな知ってるの?

どっから情報仕入れたんだろ?

まさか澪が...。

頭に澪の顔がちらついた時、「山本とは何もない」と、思い出したように彼が呟いた。


「でも、澪さ結構大楽くんと仲良くしてるし、澪から色々聞いてるんじゃ...」


あたしがそう言うと、大楽くんはふっと笑った。

その笑い方はどう見ても澪が好きな王子様系男子の微笑みとは違う、小悪魔系の笑い方だった。


やっぱこの人、違うかも...。

澪にはもっとふさわしい人がいる。

お似合いかも~なんて思った自分がバカだった。


脳内判決を下しかけたところで、また彼が口を挟む。