青い夏の、わすれもの。

「あー、ごめんごめん。えっと、実は...」


と、話し出そうとした時だった。


「あれ?さつまくんまだいたんだ」


げ。

澪がやって来てしまった。

極秘で進めたかったけど、この状況は異様過ぎてさすがの澪でも突っ込むよね?

あたしはどう言い訳をしようか必死に頭を捻った。


「爽と話してたんだ。珍しいね」

「まぁ。永瀬さんが数学教えてほしいって言うから」

「確かにさつまくん数学得意だもんね。爽のことよろしくね」

「あぁ」


え?

あたしは目を見開いた。

フォローしてくれたの?

嘘...。

この人、やっぱただ者ではない。

読めてる。

空気も、人間関係も。

ってことはもしや...

あたしがなんで話しかけたか本当は気付いてる?

ごちゃごちゃ頭の中で考えていると、澪がこちらを見つめた。


「爽、さつまくんに失礼のないように」

「あっ、は、はいっ」


澪は置き忘れていた楽譜が入ったファイルを取るとさっと教室から出ていった。

呆然とあたしにしか見えない澪の残像を見つめていると、大楽くんがあたしの肩を叩いた。


「あ、ごめんなさい。なんか色々とグダグタになっちゃって。言いたいことってのはその...」

「水族館」

「え?」

「さっき山本と話してただろ?それにオレも誘おうとしてる。オレと山本の関係を探るため」

「ちょ、ちょっとタイム!」