「わたしね...昨日......応援の帰りに、か、魁くんに...そのぉ......告白されて」

「へ~、そうなんだぁ」


ニヤニヤしてみる。

たぶん、ぎこちない。

けど、澪は気づかない、と思う。


「ねぇ、爽。爽と魁くんって幼なじみでしょ?魁くんのこと色々教えてほしいの。わたし、同じクラスにいても爽を介してでしかほとんど話したことなくて分からないし。魁くんってどんな人?」

「それ聞いてくるってことは付き合ってもいいって思ってるってこと?」

「まぁ、一応前向きに検討してるというかなんというか...」


前向きに検討か。

余計なお世話だね。

はっきり言ってもらった方がこちらとしては大助かりなんだけどな。

親友が恋のライバルって、少女マンガとかドラマとかで良くある設定だけど、いざ自分がその立場になると、キツいのよ。

こんなピュアで真っ直ぐないいこを敵にするなんて、いくら性悪なあたしでも出来ないよ。

それに好きな人の幸せを願います、っていうような大和撫子的な生易しい考えにも至れない。

好きな人を取られたくない。

好きな人に自分を好きになってもらいたい。

どんな犠牲を払っても自分が自分の好きな人を幸せにしたい。

そう思っちゃうから。

あたし...そういう人間だから。