「……家出?」



辺りは真っ暗。


夜の1時を過ぎた春の気温は肌寒いどころじゃない。

寒すぎる。

そんな時間帯にこんなとこに一人でいるのは、やっぱりそう思ってしまうんだろうか。


家出なんて、出来るものならしてみたい。


家族のいない私は、家出なんてもの無縁なんだ。


小さな灯台。


それでも私が毎日通い詰める落ち着きの場所。


ここで星を眺めるのが日課。


床に寝そべって空を見上げる私の顔を覗き込み、ナンパまがいな発言をしたのは全く知らない男。

暗すぎて顔はあまりわからないけど、なんでこんなとこに?って伝わって来そうな雰囲気が出てる。