突然声をかけられてびっくりして振り返ると、そこには数日前にお友達になったばかりのアルフォークの姿があった。そう言えば、また見に来ると言っていた。

「また花を見に来てくれたのですか?」

 スーリアは嬉しくなってアルフォークのもとに駆け寄った。今日もアルフォークは黒色に金糸の刺繍が施された魔法騎士の騎士服をビシッと着込んでいた。

「ああ、そうだ。スーリア、『団長閣下』ではなくて『アルフォーク』と呼んでくれ。スーリアは俺の仕事の部下でないのだから」

 アルフォークはそう言って苦笑した。
 チラリと見ると、アルフォークには連れがいた。黒髪に黒目という『倉田恵』であったスーリアにとっては懐かしい色彩の男性だ。少したれ目の柔らかい雰囲気でアルフォークほどではないけれどなかなかの美形である。男性は魔法使いのような黒色のロング丈ケープを着ていた。

「あの、はじめまして?」
「こんにちは、スーリアちゃん。僕は王宮お抱えの筆頭魔術師のルーエンだよ。アルの幼なじみなんだ。スーリアちゃんの花畑に興味があったからアルに連れてきて貰ったんだよ。僕のことも『ルーエン』って呼んでね」