「アル、妙だ」
「妙とは?」
ぐったりとした少女を抱き上げたアルフォークはエクリードに問いかけた。
「まだ浄化してないのに空間の歪みが正されている。先ほどのスネークキメラは恐らく裏の世界に戻ったんだ」
「歪みが正されている?」
アルフォークも眉をひそめた。空間の歪みが発生して裏の世界につながった場合、その歪みは聖魔術師が浄化して正す。その浄化をしていないのに空間の歪みが一瞬で正されるなどこれまでない現象だ。
「スーリア! なんでこんな所に!!」
その時、部下の一人のスティフが取り乱して少女に駆け寄ってきて、アルフォークは顔を向けた。
「スティフ、知り合いか?」
「私の婚約者の妹です」
「そうか……。連れて帰ってやろう」



